コウテイ 使い方ガイド

クリティカルパスを理解する

クリティカルパスは、工期を守るうえで最優先に押さえるべき工程の連なりです。この記事では、CPMを使った見つけ方の手順から、経路に乗りやすい工程の見分け方、工期短縮を検討するときの判断基準、日々の重点管理までを建設現場の実務目線で解説します。ネットワーク工程表に慣れていない現場担当者でも、手元のバーチャート工程表から追えるようにまとめました。

#クリティカルパス#工期短縮#CPM

1. クリティカルパスの定義とフロート(余裕日数)

クリティカルパスとは、着工から竣工までを先行・後続の順序でつないだとき、合計日数が最も長くなる工程の連なりを指します。この経路上の作業が一日遅れれば、原則として引渡し日もそのまま一日後ろへずれます。逆に経路から外れた工程には余裕日数(フロート)があり、その範囲内なら遅れても全体工期は動きません。現場で「どの遅れが本当に痛いのか」を切り分ける物差しがこれです。内装が二日押すと竣工検査まで連鎖するのに、外構が二日押しても引渡し日は動かない、という違いを根拠をもって説明できるようになります。すべての工程を等しく心配するのをやめ、守るべき経路に管理の力を集中させるための出発点だと考えてください。

2. CPMでクリティカルパスを見つける手順

見つけ方の基本はCPM(クリティカルパス法)です。まず工事をWBSで分解します。住宅なら二十〜四十作業、規模の大きい建築でも百作業以内に収めると扱いやすくなります。次に各作業の所要日数を過去の実績から見積もり、「基礎の養生が明けないと建方に入れない」といった先行・後続の関係を洗い出します。そのうえで着工日を起点に各作業の最早開始日を順送りで計算し(フォワードパス)、竣工日から逆算して最遅開始日を求めます(バックワードパス)。両者の差が余裕日数で、これがゼロの作業を開始から終了までつないだ一本が求める経路です。作業数が三十前後までなら、付箋を壁に並べて手で追っても十分に把握できます。

3. 経路に乗りやすい工程の見分け方

毎回ゼロから計算するのが難しければ、経路に乗りやすい工程の型を覚えておくと当たりをつけられます。コンクリートの養生や塗膜の乾燥のように、人を増やしても縮まらない待ち時間。基礎から躯体、内装、仕上げへと一本道でつながる主要構造の流れ。中間検査や消防検査のように、日程を相手方に握られる工程。そしてサッシやエレベーター、特注建具、受変電設備といった長納期品の搬入待ちです。判断に迷ったら「この工程が三日遅れたら引渡し日は動くか」と自問してみてください。動くなら経路上、動かないならフロートを持つ工程だと切り分けられます。

コウテイで作成した工程表をA3横で印刷した例。左に工程名、上に日付と曜日が並び、土日は黄色・日曜と祝日は赤で色分けされ、各工程が横棒で表示されている
コウテイで作成した工程表のA3横印刷イメージ(土日・祝日は自動で色分け/長期工事は自動でページ分割)

4. 工期短縮はクリティカルパスからしか始まらない

工期短縮の鉄則は、クリティカルパス上の工程を縮めない限り全体は一日も縮まらない、という点です。経路外の作業をどれだけ前倒ししても竣工日は動きません。短縮の手段は大きく二つで、人員や班を増やして日数そのものを詰めるクラッシングと、本来は順番に行う工程を一部重ねて走らせるファストトラッキングです。前者は費用が増え、後者は手戻りの危険が上がるため、いずれも「一日縮めるのにいくらかかるか」を工程ごとに見積もってから、単価の安い順に検討するのが定石です。また一箇所を縮めると別の並びが最長になり、クリティカルパスが移ることも珍しくありません。短縮案を入れたら必ず経路を引き直してください。

5. 重点管理とバッファ配分、更新のリズム

経路が分かったら、人と機械とバッファをそこへ寄せます。腕の確かな班や重機は経路上の工程へ優先的に割り当て、天候予備日も経路上に厚めに置くのが基本です。バッファは各工程へ一日ずつ散らすより、経路の終盤にまとめて確保したほうが使い切りにくいとされています。運用面では、週一回の工程会議の前に担当者が進捗を更新し、会議では経路上の工程から先に確認する進め方が効率的です。コウテイでは工程がずれたときにバーをドラッグして日付を動かせるので、会議の場で修正案を試し、結果を同じURLの共有リンクで協力会社へそのまま届けられます。現場事務所への掲示はA3横で印刷し、長い工期なら自動のページ分割で貼り分けます。

6. つまずきやすい点とコウテイでの扱い

落とし穴は主に三つあります。一つ目はクリティカルパスを固定だと思い込むこと。工程は進むたびに姿を変えるので、月に一度は引き直す前提で扱ってください。二つ目は、余裕日数が一〜二日しかない準クリティカルな経路の放置です。ここが少し押しただけで、新しい最重要経路に入れ替わります。三つ目は、施主の決定待ちや近隣調整、官庁協議といった自社の作業でない項目を工程表に載せ忘れることで、実際にはこれが経路の正体だったという例は少なくありません。コウテイでは各工程に先行工程を設定でき、日程を動かしたときの後続への影響を確認できます。クリティカルパスの自動計算は現在開発中で、当面は依存関係とフロートを自分で押さえる運用になります。

❓ よくある質問

Q. クリティカルパスはどのくらいの頻度で見直せばよいですか?

決まった頻度はありませんが、週次の工程会議で経路上の工程の進捗を確認し、月に一度は経路そのものを引き直すのが現実的な運用です。加えて、着工日の変更、主要工程の一週間以上の遅延、設計変更、長納期品の納期回答が届いたときは、周期に関係なくその場で見直してください。工期短縮の策を実行した直後も、別の並びが最長経路に入れ替わっていないかを必ず確認します。

Q. 工期短縮を求められたとき、どこから手をつければよいですか?

まずクリティカルパスを特定し、経路外の工程には手をつけないと決めるところからです。そのうえで、経路上の工程を一日縮めるのにいくらかかるかを見積もり、単価の安いものから検討します。人を増やして日数を詰めるか、順番に行う工程を一部重ねるか、長納期品の発注を前倒しするかは、増える費用と手戻りの危険を比べて判断します。縮めた後に経路が別の並びへ移っていないかの確認も忘れずに行ってください。

Q. クリティカルパスが複数出てきた場合はどう管理しますか?

合計日数が同じ経路が複数ある状態は珍しくなく、規模の大きい工事ではむしろ普通です。この場合はどちらの経路にも余裕がないため、両方を同じ優先度で監視する必要があります。対象が増えすぎるときは、余裕日数が二日以内の準クリティカルな経路までを一つのまとまりとして扱うと管理しやすくなります。工程表の上では重要フラグや色分けで、経路上の工程が一目で分かるようにしておくと見落としが減ります。

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