工程表の作り方(初心者向け完全ガイド)
工程表の作り方を、初めての方でもその場で一枚書き上げられるように七つの手順にまとめました。着工日と完成期限から実働日数を出す方法、工程の分け方と日数の目安、先行後続の並べ方、バーチャートへの書き方、バッファと発注納期の入れ方、そして共有と更新まで。基礎二週間、外壁三週間といった具体的な数字と、初心者がつまずく失敗例もあわせて紹介します。
1. 「工程表の作り方」で最初に決めるのは様式ではなく用途
工程表の作り方を調べ始めた人がまず手を出すのは、罫線の引き方やテンプレートの様式です。しかし最初に決めるべきは、その一枚を誰が何のために見るかという用途のほうです。社内の段取り用なら細かく、協力会社への依頼用なら自分の出番だけが読み取れる粗さ、施主説明用なら大きな節目だけ、と適切な粒度は用途で変わります。同じ工事でも用途が違えば、別の一枚を作ったほうが早いことすらあります。判断の目安は、その工程表を見た人がその場で何を決めるかです。明日どこに誰を入れるかを決める紙なら日単位、今月中に引渡せるかを判断する紙なら週単位で足ります。用途が曖昧なまま書き始めると、細かすぎて誰も更新しない一枚か、粗すぎて現場が動かせない一枚のどちらかになります。
2. 書き始める前に確定させる三つの数字
工程表の作成でつまずく典型は、いきなりバーを引き始め、最後に合計日数が期限を超えていると気づいて全部組み直すケースです。着手前に、着工日、引渡または完成期限、稼働できる曜日の三つを必ず確定させてください。たとえば着工が四月一日、引渡が七月三十一日で、日曜と祝日を休むなら、暦日百二十二日に対して実働はおよそ百日という上限が先に出ます。この百日が全工程の合計日数の天井になり、以降の見積もりはすべてこの枠の中に収める作業になります。あわせて、発注者側の都合で作業できない日も洗い出します。マンション改修は管理規約で日曜作業や早朝搬入が禁じられている例が多く、店舗内装では営業中の騒音工事が夜間限定になることもあります。この制約を後から知ると、工程表は一度作り直しです。
3. 手順1 工事を二十〜四十行の大工程に分解する
最初の作業は、工事全体を大工程に分けることです。目安は二十から四十行で、これはA3横一枚に収まり、現場に貼って一メートル離れても読める行数でもあります。分ける単位に迷ったら、一つの協力会社が連続して現場に入る範囲を一行と考えてください。木造新築なら地鎮祭、仮設、地盤改良、基礎、土台敷き、上棟、屋根、サッシ取付、外壁、電気配線、給排水配管、断熱、ボード張り、クロス、フローリング、キッチン、ユニットバス、建具、外構、清掃、竣工検査、施主検査、引渡しといった粒度に落ち着きます。ここでクロス張りを部屋ごとに八行へ割ると、更新が追いつかず二週間で放置されます。細かさは正確さではなく、続けられるかで決めるのが工程表の書き方のコツです。

4. 手順2 各工程の日数を見積もる(工事別の目安)
行が並んだら所要日数を入れます。最も確実なのは、過去に完了した同種工事の実績日数をそのまま写すことです。実績がない場合の目安として、木造一戸建の新築は着工から引渡まで四か月前後、うち基礎工事に二週間、外壁工事に三週間、ボード張りからクロス仕上げまでに一か月程度をみます。マンションの内装リフォームは解体から引渡まで一か月弱、外壁塗装は足場の設置から解体までで二週間前後、木造二階建の解体は近隣挨拶と届出を含めて十日から二週間、スケルトンからの店舗内装は二か月弱が一つの目安です。仮置きした数字は必ず職長や協力会社に見せて直します。見積もり段階で完璧を目指すより、後から直せる形にしておくほうが実務では役に立ちます。
5. 手順3 先行後続を整理して並べる
日数が出たら、どの工程が終わらないと次に入れないかという順序の制約を整理します。基礎の養生が明けないと土台は敷けない、電気配線と給排水配管が済まないとボードは張れない、塗装は下塗りと中塗りの間に乾燥時間を空ける、といった物理的な条件が工程表の骨格になります。整理できたら、同時に進められる工程は上下に並べて期間を重ねます。ここで必ず確認したいのが、重ねた工程どうしが同じ場所や同じ職人を取り合っていないかという点です。図の上では並行に見えても、一人の電気屋が二つの現場に同時に立つことはできません。担当者の欄を埋めながら並べると、同じ名前が同じ週に三行並んでいるといった矛盾に、配置の段階で気づけます。
6. 手順4 バーチャートへの書き方と紙面の作法
並べ方が決まったら実際の紙面に落とします。日本の建設現場で標準的なバーチャート工程表の書き方は、上端に日付と曜日、左端に工程名と担当、中央に横棒という構成です。土曜は薄い黄、日曜と祝日は薄い赤で列ごと塗り、休みが一目で分かるようにします。ここを省くと、暦日で引いた棒が連休をまたいでいることに誰も気づけません。上棟や中間検査、竣工検査、引渡しのように動かせない日付は、棒ではなく◆のマイルストーンで固定して目立たせます。紙面の上部には工事名、現場住所、自社の連絡先、そして発行日を必ず入れてください。発行日のない工程表は、現場に三つの版が同時に貼られたとき、どれが最新か誰にも判断できなくなります。
7. 手順5 バッファと発注リードタイムを入れて確定する
最後に余裕日を入れます。全工程を最短日数で詰めた工程表は、雨が二日降った時点で破綻します。屋外作業を含む工程には一割から二割の余裕日を持たせるのが現実的で、基礎や外壁塗装のように天候に左右される工程ほど厚く取ります。あわせて、材料の発注リードタイムを工程として書き込みます。既製品のサッシやユニットバスでも数週間、特注の建具や輸入タイル、業務用厨房機器はさらにかかることがあり、発注日を工程表に載せていないと現場が止まります。年末年始やゴールデンウィーク、お盆の一斉休工も数え忘れが多い箇所です。実際によくある失敗は、余裕日を取ったつもりが最終週にまとめて置かれている形で、余裕は使う工程の直後に分散して置きます。
8. 作り方のコツは、更新と共有まで含めて設計すること
工程表は書き上げた瞬間から古くなります。実務で効くのは、更新する曜日を先に決めることです。週に一度、たとえば金曜の夕方に実績を反映し、変わった点だけを関係者に伝える。この習慣がないと、工程表は着工から一か月で誰も見ない飾りになります。もう一つのコツは配り方を一本化することです。メール添付やFAXで配ると、A社は三版、B社は五版を見ている状態が生まれ、遅延の原因が段取りではなく版のずれになります。閲覧用のURLを一本だけ配り、紙は掲示用と割り切ると行き違いが減ります。作った工程表を自分の手元に置いたままにするのが最も多い失敗で、共有されていない工程表は存在していないのとほとんど同じです。
9. 手書き・Excel・クラウドの選び分けと、ツールで作る手順
どの道具で書くかは好みではなく、更新頻度と配布先の数で決めます。着工後の変更がほとんどない小規模工事を一人で回すなら、手書きやExcelでも十分です。週に一回以上直す、三社以上に配る、複数現場を並行して持つ、のいずれかに当てはまるなら、日程が動くたびにセルをずらして罫線を引き直す作業が重くなります。クラウド型で作る手順は、業種別テンプレートから近いものを選び、工程名を自社の呼び方に差し替え、着工日を入れてバーをドラッグで動かす流れです。コウテイは木造新築から外壁塗装、解体、店舗内装まで二十八種のテンプレートを備え、土日祝の色分けとA3横印刷の自動ページ分割に対応しています。既存のExcelはCSVで取り込め、無料プランでもテンプレート三種で作成と透かし入り印刷までは試せます。
❓ よくある質問
Q. 工程表を一枚作るのにどのくらい時間がかかりますか?
白紙から書く場合は、工程の洗い出しと日数の確認に時間がかかるため、半日程度みておくと安全です。二件目以降は前の現場の工程表を下敷きにできるので大幅に短くなります。業種別テンプレートを使う場合は工程名の差し替えと日程調整が中心になるため、一時間前後が目安です。いずれの場合も、職長や協力会社へ日数を確認する時間は別に見込んでおいてください。
Q. 工程表には最低限どこまで書けばよいですか?
工事名、現場住所、発行日、自社の連絡先、工期の全体日数、工程名、開始日と終了日、担当業者。この八つが入っていれば、社外に配る一枚として成立します。余力があれば上棟や中間検査などのマイルストーンと、雨天予備日の扱いを欄外に一行添えると問い合わせが減ります。逆に進捗率や原価は、社内用と社外用で分けたほうが読みやすくなります。
Q. 日数の見積もりに自信がありません。どうすればよいですか?
仮の数字を置いて一枚書き上げ、それを持って職長や協力会社に相談するのが最短です。白紙で何日かかりますかと聞くより、基礎に二週間を見ていますが足りますかと聞いたほうが具体的な返事が返ってきます。返ってきた日数で直せばよく、初稿の精度を上げようとして着工が近づくほうが、実務上の損失は大きくなります。
Q. 日単位と週単位、どちらで作るべきですか?
工期が三か月以内なら日単位のバーチャート一枚で管理できます。半年を超える工事では、全体版を週単位でまとめ、直近一か月分だけを日単位の詳細版として別に用意する二段構えが現実的です。判断の目安は、その工程表で誰が何を決めるかです。職人の入場日を指示する紙は日単位、進み具合を報告する紙は週単位で足ります。
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