先行工程・後続工程(依存関係)の設定
工程表に先行工程・後続工程の依存関係を設定しておくと、どの工程が遅れたときにどこまで影響が及ぶかを、勘ではなく線でたどって判断できるようになります。この記事では、依存関係の基本的な考え方から、設定前の洗い出し方、コウテイでの具体的な設定手順、矛盾を知らせる赤い矢印の読み方、遅延が出たときに後続を引き直す実務手順、クリティカルパスの押さえ方までを、建設現場の段取りに沿って解説します。
1. 依存関係とは(先行工程と後続工程)
依存関係とは、「基礎が終わるまで躯体は始められない」のように、工程どうしの間にある順序の制約のことです。先に片づけておく側を先行工程、その完了を待って着手する側を後続工程と呼びます。建設工事の順序制約の大半は、先行の終了後に後続を開始する「終了-開始(FS)」型で、コウテイの先行工程設定もこのFS型を前提にしています。棒を並べただけの工程表は日付の記録にとどまりますが、依存関係を入れておくと「どこが遅れると、どこまで響くか」を図の上で追えるようになります。一日の遅れが引渡日に効くのか、余裕の範囲で吸収できるのかを線でたどって判断できる点が最大の利点です。
2. 設定前に順序を洗い出す
いきなり画面で設定するより、先に紙かメモで順序を洗い出したほうが結局は早く済みます。やり方は単純で、工程を上から一つずつ見て「この作業を始めるには、どの作業が終わっていなければならないか」と問いかけるだけです。答えに挙がった工程が、その工程の先行工程になります。木造新築なら躯体の先行は基礎、屋根・外装の先行は躯体、内装の先行は電気配線と給排水の先行配管、といった具合です。塗装工事では足場の設置がほぼすべての作業の先行工程にあたり、一つの工程が多数の後続を握っている場面も珍しくありません。20〜30工程規模の現場なら、この洗い出しは15分ほどで終わります。
3. コウテイでの設定手順
チャート上の工程行をクリックすると、画面右側にサイドパネルが開きます。その中の「先行工程(この工程より前に完了)」欄に他の工程が一覧で並ぶので、先に終わっているべき工程にチェックを入れます。複数選択に対応しているため、下地と設備の両方の完了を待つ内装のようなケースもそのまま表現できます。各行には工程名と終了日が並んで表示されるので、日付を見比べながら選べます。選択するとラベル横に件数が表示され、チャート上には先行のバーの右端から後続のバーの左端へ矢印が引かれます。一工程あたり数秒で済むため、洗い出したメモを見ながら上から順に入力していくのが効率的です。
4. 矢印の見方と矛盾の自動検出
引かれた矢印には2種類あります。順序が守られている依存はグレーの破線、後続の開始日が先行の終了日より前にある依存は赤い実線で表示されます。つまり赤い矢印は「物理的にあり得ない並び」のサインで、設定した順序と実際の日付が食い違っていることを意味します。工期を詰めすぎたときや、あとから前の工程を後ろへずらしたときに出やすい表示です。赤が出たら、後続を後ろへ動かすか、先行の終了日を前倒しするか、そもそもその依存が本当に必要かを見直します。なお、先行の完了を待たず意図的に工程を重ねている場合は、その依存を外しておくと表示がすっきりします。
5. 遅延が出たときの引き直し手順
依存関係が本当に効いてくるのは遅延が出たときです。たとえば雨で基礎工事が3日延びたら、まず基礎のバーの右端をドラッグして終了日を伸ばします。すると順序が崩れた依存の矢印が赤に変わるので、その矢印の先にある後続工程を順にドラッグして後ろへずらしていきます。コウテイは後続の日付を自動では動かさない仕様なので、赤い矢印が消えるまで追いかける、というのが実際の手順になります。手間に見えますが、どの工程まで影響が及ぶかを一つずつ確認しながら直せるため、協力会社への連絡漏れが起きにくいという利点があります。引き直した工程表はURLで共有すれば、職人や施主に最新の予定をそのまま渡せます。
6. クリティカルパスの押さえ方と入れすぎない運用
先行から後続へと続く連鎖のうち、合計日数が最も長い経路がクリティカルパスです。この経路上の工程が一日遅れれば完成日も一日ずれるため、矢印をたどって最長経路を確認し、その工程に「★重要工程」を付けて色分けしておくと、日々どこを守るべきかが一目で分かります。なおクリティカルパスの自動計算は現時点では未対応で、経路の判断は手動になります。もう一つの注意点は、依存関係を入れすぎないことです。物理的・技術的に動かせない順序だけに絞り、段取りの都合でその順に並べているだけの工程は縛らない。この線引きをしておけば工程表が硬直せず、現場の判断の余地を残せます。
❓ よくある質問
Q. 先行工程を動かすと、後続工程の日付も自動で動きますか?
現時点のコウテイでは、後続工程の日付は自動では動きません。先行工程をドラッグして日付を変えると、順序が崩れた依存の矢印が赤い実線に変わるので、その矢印をたどって後続のバーを順に動かしていきます。自動追随ではありませんが、どこまで影響が及ぶかを一つずつ確認しながら直せるため、協力会社への連絡漏れを防ぎやすい進め方です。
Q. 依存関係はすべての工程に設定したほうがよいですか?
その必要はありません。基礎と躯体のように、物理的・技術的に順序を動かせない組み合わせだけに絞るのがコツです。段取りの都合でたまたまその順に並べているだけの工程まで縛ると、工程表が硬直して現場の融通が利かなくなります。その工程が遅れたときに必ず誰かへ連絡が要る関係かどうかを基準にすると、判断しやすくなります。
Q. 依存関係を設定すればクリティカルパスは自動で分かりますか?
クリティカルパスの自動計算は現時点では未対応のため、経路の判断は手動になります。矢印でつながった経路をたどり、合計日数が最も長いものがクリティカルパスです。見つけたらその経路上の工程に「★重要工程」を付けて色分けしておくと、日々の管理で優先して守るべき工程が一目で分かるようになります。
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