冬期工事の注意点と工程計画
低温・短い日照・積雪・年末年始休工。冬期に工程が崩れる4つの原因ごとに、養生日数の見込み方から代替工程の並べ方まで、工程表への落とし込み方を整理しました。
冬に工程が崩れる4つの理由
冬期工事が難しいのは、単に寒いからではありません。低温による材料の硬化・乾燥の遅れ、日没が早いことによる実働時間の短縮、降雪や路面凍結による現場そのものの停止、そして年末年始の一斉休工という、性質の違う4つの制約が12月から2月に集中して重なるためです。厄介なのは、この4つがそれぞれ別の工種に効いてくる点で、コンクリートは気温、塗装は気温と湿度、屋根や外部足場は降雪と風、資材調達は休工日程と、対策の打ち方がまったく異なります。だから「冬だから全体に1割余裕を見る」という丸めた組み方をすると、効く場所には足りず、効かない場所には無駄が乗ります。まずは自分の工事のどの工種がどの制約を受けるのかを仕分けることが、冬期工程計画の出発点になります。
寒中コンクリートは打設日ではなく養生日数で押さえる
コンクリート工事は、日平均気温がおおむね4℃を下回る時期に入ると寒中コンクリートとして扱うのが一般的な考え方です。関東の平野部でも1月中旬から2月上旬はこの条件に入る日が珍しくなく、寒冷地では11月から3月まで続きます。工程表で見落としやすいのは、打設という1日の作業ではなく、その後の初期養生が何日必要かという点です。初期凍害を避けるには一定の強度が出るまで凍結させないことが前提になるため、シートや採暖による保温養生の期間と、型枠を存置する期間の両方を工程に線として引く必要があります。夏場なら翌日に次工程を積めた場所でも、冬は数日空くと考えて組み直してください。採暖する場合はヒーターや燃料、火気管理の担当まで段取りに含め、備考欄ではなく独立した工程バーとして立てておくと抜けにくくなります。
塗装・防水・左官は「5℃」と乾燥時間で読む
塗料や防水材、シーリング材の仕様書には、気温5℃以下または湿度85%以上では施工を避けるという趣旨の記載が置かれていることが多く、冬期の外部仕上げはこの一文で工程が止まります。実務で怖いのは中止よりも、施工はできるが乾燥・硬化が遅くなるケースです。夏なら朝に下塗り、午後に中塗りと1日2回転できた工程が、冬は1日1回転、あるいは翌日送りになります。工程表を組むときは、塗り重ね間隔を材料の仕様書で確認したうえで、夏基準の回転数を冬基準に置き換えてください。3回塗りなら3日ではなく4〜5日を見るという発想です。判断は当日の朝、現場の実測気温で行うことになるので、着手可否を決める担当者と、中止と決めたときに何へ振り替えるかを事前に決めておくと、朝の30分で判断が終わります。
日没から逆算して1日の実働をつくる
冬至の前後、東京でも日の入りは16時半前後、北日本ではさらに早く16時を回るころには暗くなります。屋外作業は照度が落ちた時点で安全上も品質上も続けられないため、実質の終業は16時、片付けと搬出を含めれば15時半には仕上げ作業を切り上げる想定になります。8時開始なら、昼休みを除いた実働は6時間半程度。夏場に8時間で組んでいた歩掛りをそのまま冬に当てると、毎日1時間強ずつ静かに遅れが積み上がります。対策は2つで、1つは仮設照明と発電機を早めに手配し、外部足場や外構の一部を延長できるようにしておくこと。もう1つは、午後の後半を屋内作業に割り当てる工程順にしておくことです。午前に外部、午後に内部という並べ方を工程表の段階で決めておけば、日が短い時期でも1日の頭数を無駄にせずに済みます。
積雪・凍結は「止まる前提」で代替工程を並べる
北海道や東北、日本海側の山間部では、まとまった降雪があれば除雪が終わるまで現場は動きません。太平洋側でも、路面凍結で生コン車やレッカーが入れない、足場が凍って昇降できないといった理由で半日が飛ぶことは起こります。ここで重要なのは、失われる日数を正確に読むことではなく、止まったときに人を遊ばせない準備をしておくことです。具体的には、外部工程と屋内工程を常に並行して走らせておき、朝の判断で切り替えられる状態を維持します。工程表の上で外部の工種が1本だけ細長く伸びている期間は、その期間まるごとが天候リスクの露出になっていると読んでください。あわせて、除雪の担当と機材、融雪剤の在庫、雪捨て場の確保を仮設計画に入れておくと、当日の判断が段取りの相談ではなく実行の指示で済みます。
年末年始の休工は前後2週間ぶんの段取り
12月下旬から1月上旬にかけては、多くの現場が一斉に止まります。ただし工程上のダメージは休工そのものより、その前後にあります。生コンプラントや建材メーカー、運送会社も同時期に休むため、年内の最終出荷日と年始の初回出荷日を早めに確認しておかないと、休み明けに材料待ちで数日を落とします。目安として、12月に入った時点で年内最終の発注締切を一覧にし、休み明け1週目に必要な材料は年内に現場搬入まで済ませておくのが安全です。職人の確保も同じで、年始は他現場と取り合いになりやすいため、11月のうちに1月第1週の応援人数まで押さえておきたいところです。休工期間そのものは工程表に休工バーとして明示し、その両側に納品と人員確保のマイルストーンを置いておくと、12月の慌ただしさの中でも抜けません。
冬期工程表をつくる5つの手順
手順としては、まず着工から竣工までのカレンダーに、寒冷期間と年末年始休工、そして例年の降雪時期を色分けして重ねます。次に工種を温度感度で3つに仕分けます。気温で品質が決まるコンクリートや塗装・防水を一群、天候で作業可否が決まる屋根・外部足場・外構を一群、屋内で完結する内装・設備を一群です。3つ目に、先行と後続の関係を明示します。基礎が終わらなければ躯体は始まらないという当たり前の制約を線で結んでおくと、寒波で一工程が動いたときにどこまで玉突きするのかが目で追えます。4つ目はバッファの置き場所で、末尾にまとめて1週間置くのではなく、天候感度の高い工区の直後に2〜3日ずつ分散させます。最後に、週1回は必ず見直す日を決めること。冬期は計画の精度より、更新の頻度が効きます。
止まった事実を、その日のうちに全員へ渡す
冬期の遅延は1日ずつ小さく発生するため、月末にまとめて確認すると手遅れになります。週に一度、決まった曜日に各工程の進捗率を更新し、動いた工程は依存関係をたどって後続もまとめて引き直す。この作業を30分で終える仕組みを持っているかどうかが、春先の追い込みの有無を分けます。コウテイの場合は、先行工程を指定しておくと矢印が自動で描かれ、後続が先行より早く始まる矛盾があれば赤い矢印で警告されるため、引き直しの漏れに気づけます。更新した工程表は共有リンクで配れば協力会社はログイン不要でブラウザから見られ、リンクにはパスワードと有効期限を設定できます。社内はオーナー、管理者、編集者、閲覧のみの4段階で権限を分けられるので、現場監督は編集、施主や協力会社は閲覧という運用にしておくと安心です。
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❓ よくある質問
Q. 冬期は工期をどれくらい多めに見ればよいですか。
一律の係数で伸ばすのではなく、工種ごとに置き方を変えるのが現実的です。屋内で完結する工種は通常どおり、外部の仕上げ工種は塗り重ね間隔が伸びる分だけ1日あたりの回転数を落とし、コンクリートは保温養生と型枠存置の日数を実日数で引き直します。そのうえで、天候感度の高い工区の直後に2〜3日ずつバッファを分散させ、末尾に一括で置かないようにしてください。
Q. 寒中コンクリートに該当するかは何で判断しますか。
一般には、打設から養生期間にかけての日平均気温がおおむね4℃を下回ると見込まれるかどうかで判断します。工程を組む段階では過去の平年値で当たりをつけ、打設の1週間前に週間予報で最終確認するのが実務的です。該当する場合は、保温養生や採暖の期間、型枠を存置する期間まで含めて工程表に線を引き、次工程の着手日を後ろへずらしておきます。
Q. 雪で中止になった日の工程はどう組み直せばよいですか。
中止が決まった時点で屋内側の代替工程へ人を振り替え、動かした工程の後続を依存関係に沿ってまとめて引き直します。その日のうちに更新した工程表を協力会社へ共有リンクで渡し、翌日以降の入場予定を確定させるところまでを一連の作業にしておくと、電話での個別調整がかなり減ります。翌朝に持ち越すと、他現場に人を取られてから連絡することになりがちです。