機能紹介

【新機能】先行→後続の依存関係矢印

工程バーを並べるだけでは伝わらない「なぜこの順番なのか」を、先行→後続の矢印で示せるようになりました。設定手順と赤い矢印の読み方、依存を張る範囲の見極め方を解説します。

#新機能#依存関係#ガントチャート

バーチャートから抜け落ちる「順番の理由」

日本の建設現場で使われるバーチャート工程表は、縦に工程名、横に日付を取る形式が現場掲示に適している一方で、工程どうしの因果が図に残らないという弱点があります。基礎の下に躯体の棒が並んでいても、それが「基礎が終わらないと始められないから」なのか「たまたま人手の都合でその日程になっている」のかは、作った本人の頭の中にしかありません。この差は平常時には表面化しませんが、雨や資材の遅れで一本ずらしたときに一気に効いてきます。どこまで後ろに引きずられるのかを判断できる人が一人しかいない状態は、その人が現場を離れた瞬間に工程管理が止まることを意味します。今回追加した依存関係の矢印は、この頭の中の因果を図の上に出しておくための機能です。

設定はサイドパネルのチェックだけ

操作は単純です。チャート上で対象の工程バーをクリックすると右側にサイドパネルが開き、その中に「先行工程(この工程より前に完了)」という欄があります。ここには自分以外の全工程がチェックボックスで並び、それぞれの行の右端に終了日が小さく表示されます。日付を見ながら「この工程の後でなければ着手できない」ものにチェックを入れれば、それだけで矢印が引かれます。複数選択できるので、内装のように電気配線と設備配管の両方の完了を待つ工程も表現できます。選択済みの件数は見出しの横に「2件」のように出るため、張り忘れの確認にも使えます。誤って入れた場合はチェックを外すか、Ctrl+Zで直前の状態に戻せます。三十工程ほどの住宅工事なら、最初の設定に十五分から二十分ほど見ておけば足ります。

灰色の破線と赤い実線を読み分ける

引かれた矢印は、先行工程のバーの右端から出て直角に折れ、後続工程のバーの左端に入ります。日付の整合が取れているときは灰色の細い破線で描かれ、工程表の主役である棒の視認性を邪魔しません。一方、後続の開始日が先行の終了日より前になっている場合は、赤い実線に変わり線も太くなります。判定はいたって素朴で、後続の開始日が先行の終了日より早いかどうかだけを見ています。ここで実務上の勘所になるのが、先行の終了日と後続の開始日が同じ日のときは警告にならない点です。午前に片付けて午後から次が入る、といった現場の運用をそのまま表現できるようにしてあります。逆に言えば、養生や乾燥で一日空けたいなら、日付を一日ずらして自分で余裕を取る必要があります。

張りすぎない——どこに依存を置くかの判断

依存関係は多く張るほど正確になるわけではありません。本来は並行できる作業まで直列につないでしまうと、図の上では工期が伸び、現場の実感と合わない工程表ができあがります。張るべきなのは、物理的・技術的にどうしても順序が動かせないところに限る、と考えるのが安全です。壁を塞ぐ前に配線を終える、コンクリートが固まる前に上に載せない、足場が立つ前に外部の塗装に入らない、といった関係がこれにあたります。反対に、屋根が架かった後の外装と内装のように、人手さえ足りれば同時に進められる作業には矢印を引かないほうが、後で調整する幅が残ります。判断に迷ったら「これを逆の順番でやったら不具合が出るか」と自問してみてください。出るなら依存、出ないなら単なる段取りの都合です。

養生・納期待ちは「工程の行」で表す

現在の依存関係は、先行が終わってから後続が始まる終了-開始の一種類だけを扱います。工程と工程のあいだに何日空けるといったラグの設定はないため、待ち時間そのものに意味がある場面では表現の工夫が要ります。実務でうまくいくのは、待ち時間を独立した工程の行として立ててしまうやり方です。基礎コンクリートの後なら「養生」という行を三日から五日で作り、基礎を養生の先行に、養生を躯体の先行に置けば、鎖として矢印がつながります。塗装の乾燥待ちや、モルタルの硬化を待つ期間も同じ考え方で扱えます。資材の納期も同様で、「発注・納品待ち」の行を作って着工の二週間前あたりから引いておくと、発注忘れが図の上で見えるようになります。行が一本増えることを嫌わないほうが、結果として工程表は読みやすくなります。

遅れが出た日の使い方——赤い矢印を消す作業

ここは誤解のないよう先に書いておきます。バーをドラッグして日程をずらしても、後続の工程が自動で追随して動くことはありません。あくまで矢印と警告で影響範囲を示すところまでが、現時点の機能の範囲です。ただ、この仕様は現場では意外に扱いやすく、遅延が出た日の作業手順がはっきりします。まず遅れた工程のバーを実績の日付までドラッグし、次に赤くなった矢印を上から順に見ていきます。赤い矢印の先にある後続工程が動かし忘れているものなので、そこを一本ずつ後ろへずらし、また赤が出れば同じことを繰り返します。すべての矢印が灰色の破線に戻った時点で、辻褄の合った再計画が終わったことになります。頭の中で追いかけていたチェックリストが、画面の上に色で出ている状態だと考えてください。

Excel・CSVから移した直後は矢印がゼロ

つまずきやすいのがここです。ExcelやCSVからの一括取込で読み込めるのは工程名・カテゴリ・開始日・終了日・担当までで、依存関係の列は取り込みの対象に入っていません。既存の工程表を移してきた直後は、バーは全部並んでいるのに矢印が一本もない状態になります。これを見て機能が効いていないと感じるかもしれませんが、仕様どおりの動きです。移行の順番としては、取込で行と日付を作り、日程の粗い調整を済ませてから、最後に依存を張るのが手戻りがありません。そのとき全工程に張ろうとすると必ず息切れするので、まずは工期を決めている一本の連鎖、木造なら基礎から躯体、屋根、内装へ続く筋だけを先に通してください。細かい枝は運用しながら足していけば十分間に合います。

共有リンクとA3印刷にも矢印は出る

設定した矢印は編集画面だけのものではなく、共有リンクで開いた閲覧画面と、A3横の印刷にもそのまま出ます。協力会社にURLを送ったとき、いつ入るかだけでなく何を待って入るのかまで一枚で伝わるため、順序の説明を電話で繰り返す場面を減らす助けになります。共有リンクにはパスワードと有効期限を設定できるので、発注者と協力会社で見せ方を変える運用も可能です。ただし印刷では線が細く、工期の長い工事を複数ページに分割したときはページをまたぐ矢印が追いにくくなります。掲示用の一枚では、重要工程のフラグやマイルストーンと組み合わせて補うのが現実的です。なお、依存の連鎖から最長経路を自動で割り出すクリティカルパスの計算は現時点では実装しておらず、今後の課題として検討しています。

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❓ よくある質問

Q. 先行工程を設定すると、後続の日程も自動で動きますか?

現時点では自動では動きません。矢印と赤い警告で矛盾を示すところまでが機能の範囲です。遅れが出たときは、遅れた工程のバーをドラッグしたあと、赤く変わった矢印をたどって後続を一本ずつずらしていく形になります。すべての矢印が灰色の破線に戻れば、日程の辻褄が合った状態です。逆に言えば、赤い矢印がずらし忘れの検出器として働きます。

Q. 養生期間のように「何日空ける」という指定はできますか?

依存の型は終了-開始の一種類のみで、待ち日数(ラグ)の指定はありません。養生や乾燥待ちは、その期間を独立した工程の行として立て、前後を依存でつなぐ方法で表現してください。基礎の後に三日から五日の養生行を挟み、基礎→養生→躯体と鎖でつなげば、日程をずらしたときの追随も追いやすくなります。

Q. Excelから取り込んだ工程表にも依存関係は引き継がれますか?

取込で読み込むのは工程名・カテゴリ・開始日・終了日・担当までで、依存関係の列は対象外です。取込直後は矢印が一本もない状態から始まります。まず行と日付を整え、そのうえで工期を決めている主要な連鎖から順に設定していくのが効率的です。最初から全工程に張ろうとしないことが、続けられる運用のこつです。

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